第13回:おいしさに囲まれた現代日本の食事
日本の食文化は大きな曲がり角に差し掛かっているようです。何を食べるということは個人の好みがありますが、栄養学的な観点からすると、やはり伝統的な「だしの文化」を大事にしなければいけないのではないかと思います。「だし」が油や砂糖と同じように、本能的な執着を起こさせる「おいしさ」を持つものだということも実験の結果が出ています。だしと砂糖と油は、たんぱく質と糖と脂肪、つまり動物が生命維持に最も必要とするものです。人間を含めた動物は、それをおいしいと感じ、強く引きつけられるということです。
油脂を食べれば大きな満足感を得られます。人間を含め、動物が飢餓に備えてできるだけカロリーをとりたいという本能があるからです。油は非常にカロリーが高くて、その本能に合致しています。
しかし日本の食事は昭和の初期まで油の量はそれほど多くありませんでした。それでは、油脂から遠かった日本食の満足感はどこにあったのでしょう。それは「だし」が源となっています。だしを多く使うと油だけよりも少ないカロリーで満足感のある料理が作れます。ですから、だしの大切さをもっと広げていきたいと考えています。
日本人の健康のためにも、もっとだしの味を子供に広めていく。それが、日本の食文化を後の世代に伝えるためにも大事だと考えています。
これはマウスの実験で明らかになったのですが、離乳期前後にだしを与えたマウスはものすごくだしの味を好きになるのです。離乳期というのは、親が食べている食物の味を覚えていく時期。その時期に子供は「これからこういうものを食べていくんだ」という情報を収集しているんです。そのときに味わったものは、大人になってからも好きな味です。人間の離乳はマウスよりも長い期間が必要であるといわれています。少なくとも、離乳期から学童期にかけての期間にだしの味を覚えさせることはとても大切なことです。
昔は、離乳食は買うものではなく、母親が食べるものを少し薄味に、軟らかくして子供に食べさせていました。それは親の味を子供に教えるという意味でとてもよいことです。
しかし今のお母さんたちは、身長や体重が増えることに気をとられすぎているように思います。もし平均よりも身長や体重が下だったら大変だとあわてることになります。日本の伝統的な食べ物というのは、体を大きくするのに最適というわけではありません。欧米から輸入された高脂肪、高たんぱくの離乳食の方が、早く大きくなります。しかしそれと引き換えに子供は日本の味を知らずに、幼稚園まで育ってしまいます。そうすると将来日本食をおいしいと思わなくなります。
だからこそ、正しい食事を小さい頃に教えることが大切です。そこでの経験が「おいしさ」を決めていくのです。だしの味を子供の頃からしっかりと教えることは、将来、健康的な食生活を送る上でも大切なことではないかと思います。
理科担当:伏木先生
プロフィールはこちら
<参照・出典:「人間は脳で食べている」「おいしさを科学する」著・伏木亨 ちくま新書>
しかし日本の食事は昭和の初期まで油の量はそれほど多くありませんでした。それでは、油脂から遠かった日本食の満足感はどこにあったのでしょう。それは「だし」が源となっています。だしを多く使うと油だけよりも少ないカロリーで満足感のある料理が作れます。ですから、だしの大切さをもっと広げていきたいと考えています。
日本人の健康のためにも、もっとだしの味を子供に広めていく。それが、日本の食文化を後の世代に伝えるためにも大事だと考えています。
これはマウスの実験で明らかになったのですが、離乳期前後にだしを与えたマウスはものすごくだしの味を好きになるのです。離乳期というのは、親が食べている食物の味を覚えていく時期。その時期に子供は「これからこういうものを食べていくんだ」という情報を収集しているんです。そのときに味わったものは、大人になってからも好きな味です。人間の離乳はマウスよりも長い期間が必要であるといわれています。少なくとも、離乳期から学童期にかけての期間にだしの味を覚えさせることはとても大切なことです。
昔は、離乳食は買うものではなく、母親が食べるものを少し薄味に、軟らかくして子供に食べさせていました。それは親の味を子供に教えるという意味でとてもよいことです。
しかし今のお母さんたちは、身長や体重が増えることに気をとられすぎているように思います。もし平均よりも身長や体重が下だったら大変だとあわてることになります。日本の伝統的な食べ物というのは、体を大きくするのに最適というわけではありません。欧米から輸入された高脂肪、高たんぱくの離乳食の方が、早く大きくなります。しかしそれと引き換えに子供は日本の味を知らずに、幼稚園まで育ってしまいます。そうすると将来日本食をおいしいと思わなくなります。
だからこそ、正しい食事を小さい頃に教えることが大切です。そこでの経験が「おいしさ」を決めていくのです。だしの味を子供の頃からしっかりと教えることは、将来、健康的な食生活を送る上でも大切なことではないかと思います。
理科担当:伏木先生プロフィールはこちら
<参照・出典:「人間は脳で食べている」「おいしさを科学する」著・伏木亨 ちくま新書>
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◆この記事へのコメント
- だしを採る時一番に感じるのが素材の高さ、ケチケチせずに良い物を、ふんだんに使って料理が出来れば!フトコロ具合が(涙;)
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Posted by こめみまん
at 2008年02月05日 03:28
- 子供の頃、みそ汁を作ったとき、だしを入れることを知らずに、具と味噌だけで作ったことがあります。見た目はバッチリだったのですが、味は最悪!その後、母に聞いてだし(いりこ)が必要だと知りました。やっぱりだしは必要ですね。
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Posted by もこもこ
at 2008年02月05日 06:10
- 離乳期の食べ物が大切なことがよくわかりました。変な物は売っていないだろう、栄養バランスにも配慮していると書いてあるから、○○mg入りだから、などの理由から離乳食を買うと安心するらしいです。そんな考え方がとても心配です。
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Posted by 辰蔵
at 2008年02月05日 07:19
- 伏木先生の講義はまたまた大変参考になりました。“だし”が決め手ですね。最近よく鍋料理をしますが“だし”が上手く出来て、食べ終わった時は単に満腹という満足感より“あ~~美味しかった”という満足感の方が強く感じました。おっしゃるとおり、子どもたちに「日本食の美味しさ」につながる満足感を伝えなければいけませんね。
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Posted by いけやん
at 2008年02月05日 08:18
- マウスの結果がどこまでヒトと相関するのかはいささか疑問がありますが、海外旅行から帰国した際に真っ先に食べたくなるものはやっぱり和食ですよね。以前サンフランシスコの空港でうどんやさんを発見し、我慢できずに食べてしまった経験があります(正直まずかったです)。料理の名称、香(ダシの)なども食べるという行動に大きく関わっていることを身をもって痛感しました。
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Posted by はっちゃん
at 2008年02月05日 08:48
- 動物は本能的に身体に必要と求めているものを摂ろうとするということを聞いたことがあります。
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Posted by kami
at 2008年02月05日 09:09
- イラストの雰囲気が変わりましたね。
前のもかわいかったですよ。 -
Posted by ke-ko
at 2008年02月05日 13:02
- だしの文化、大切なものと実感はしていますが、本物の味を求めるとなると高くつきますね。
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Posted by モッサン
at 2008年02月05日 21:11
- ほんとかわいいイラストね。
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Posted by えっちゃん
at 2008年02月06日 00:25
- 子供のころにおだしの味などをおいしいと覚えた子は幸せものですよね!親に感謝です。
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Posted by み~も
at 2008年02月13日 13:36
- 味はだしで決まります。
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Posted by kitty
at 2008年02月16日 23:54
- だしをとるのは難しいですね。
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Posted by えっちゃん
at 2008年02月18日 22:49
- だしは命です。
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Posted by しょーちゃん
at 2008年02月27日 23:40
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