第15回:「普通の食事」こそ、最も大切なもの

現在の社会では、さまざまな食物を普通に食べていれば、欠乏する栄養素はほとんどありません。この「普通に食べている」ということが重要です。
しかし最近は、その「普通の食事」ができない人が増えているといえるでしょう。それは食べ物が氾濫しているからだと思います。
食べないと体に障る、あるいは問題だという意識が昔の食べられない時代にはありました。今は、コンビニやスーパーに行けば何でもあります。食べようと思えばいくらでも食べられるので、食を軽く見すぎてしまっているのだと思います。特に若い人にはそういう傾向があるかもしれません。
ダイエットというのは、食べ物が豊富にある時代にだけもてはやされる現象で、飢餓の時代にダイエットする人はまずいません。今はちゃんと食べなくても死にはしないだろうという安心感があります。それが重なって、最後は生活習慣病や過激なダイエットに結びついてしまっているのではないでしょうか。
何かひとつの食べ物で、健康になるということはありません。健康というのは、さまざまな食物を摂取できて、うまく代謝が回転しているときに、確保できるわけです。
また、何をどれだけ食べればいいかという場合、「このくらいで大丈夫」という幅は、結構広いのです。人間は多少の栄養素の偏りに対して適応する高い能力があります。過剰に栄養素をとれば排泄するか貯蓄するし、少なければ代謝の回転を落とすなりして大事に使っていきます。人間の身体には恒常性を維持する機構がいつでも働いているのです。それは人間の身体が困難、不利な条件で栄養学がなかった時代でも長年培ってきたものです。ですから、普通の生活を送っていれば、何が何ミリグラム必要かなど、あまり神経質にならなくてもいいと思います。
「普通の食事」で、人間にとって一番重要なものは、血糖、つまり、血液の糖分です。糖は人間の最も大事な器官である脳の唯一の栄養です。糖分が不足すると肝臓やすい臓、筋肉も分解してしまいますし、血糖値が低下すると昏睡してしまいます。
糖というと砂糖を連想してしまいますが、米やジャガイモに含まれるでんぷん質と砂糖や麦芽糖などの甘い糖は生理的には、ほぼ同じものです。一般的に栄養学ではでんぷんを含めて糖質といいます。
糖の次に大事なのは、心臓などの臓器や筋肉、神経、血球などを作るばかりでなく、免疫も支えるタンパク質です。タンパク質の原料となるアミノ酸の多くは糖からは作れませんから、食べなくてはなりません。
それでは脂肪は生きていくうえでどういう関係にあるかというと、結局は身体の中のあまったエネルギーの貯蔵形態です。必須の脂肪酸がいくつかありますが、微量でいいので「普通の食事」で足りています。ですから、現代の私たちは、脂肪をそれほど積極的に食べなくても大丈夫です。
そうすると、「普通の食事」をどう捉えるかが、大事になると思います。それはもちろん栄養素の量で捉えられるようなものではなくて、たとえば、親は何を食べていたか、自分は今、何を食べたいのか、というようなことから考えるということです。
肥満などが問題になる少し前の一般的な日本人の食生活は、いいモデルだったと思います。あの頃のような朝昼晩の食事を基本に考えれば、ほぼ大丈夫ではないかと思います。
理科担当:伏木先生
プロフィールはこちら
<参照・出典:「人間は脳で食べている」「おいしさを科学する」著・伏木亨 ちくま新書>
食べないと体に障る、あるいは問題だという意識が昔の食べられない時代にはありました。今は、コンビニやスーパーに行けば何でもあります。食べようと思えばいくらでも食べられるので、食を軽く見すぎてしまっているのだと思います。特に若い人にはそういう傾向があるかもしれません。
ダイエットというのは、食べ物が豊富にある時代にだけもてはやされる現象で、飢餓の時代にダイエットする人はまずいません。今はちゃんと食べなくても死にはしないだろうという安心感があります。それが重なって、最後は生活習慣病や過激なダイエットに結びついてしまっているのではないでしょうか。
何かひとつの食べ物で、健康になるということはありません。健康というのは、さまざまな食物を摂取できて、うまく代謝が回転しているときに、確保できるわけです。
また、何をどれだけ食べればいいかという場合、「このくらいで大丈夫」という幅は、結構広いのです。人間は多少の栄養素の偏りに対して適応する高い能力があります。過剰に栄養素をとれば排泄するか貯蓄するし、少なければ代謝の回転を落とすなりして大事に使っていきます。人間の身体には恒常性を維持する機構がいつでも働いているのです。それは人間の身体が困難、不利な条件で栄養学がなかった時代でも長年培ってきたものです。ですから、普通の生活を送っていれば、何が何ミリグラム必要かなど、あまり神経質にならなくてもいいと思います。
「普通の食事」で、人間にとって一番重要なものは、血糖、つまり、血液の糖分です。糖は人間の最も大事な器官である脳の唯一の栄養です。糖分が不足すると肝臓やすい臓、筋肉も分解してしまいますし、血糖値が低下すると昏睡してしまいます。
糖というと砂糖を連想してしまいますが、米やジャガイモに含まれるでんぷん質と砂糖や麦芽糖などの甘い糖は生理的には、ほぼ同じものです。一般的に栄養学ではでんぷんを含めて糖質といいます。
糖の次に大事なのは、心臓などの臓器や筋肉、神経、血球などを作るばかりでなく、免疫も支えるタンパク質です。タンパク質の原料となるアミノ酸の多くは糖からは作れませんから、食べなくてはなりません。
それでは脂肪は生きていくうえでどういう関係にあるかというと、結局は身体の中のあまったエネルギーの貯蔵形態です。必須の脂肪酸がいくつかありますが、微量でいいので「普通の食事」で足りています。ですから、現代の私たちは、脂肪をそれほど積極的に食べなくても大丈夫です。
そうすると、「普通の食事」をどう捉えるかが、大事になると思います。それはもちろん栄養素の量で捉えられるようなものではなくて、たとえば、親は何を食べていたか、自分は今、何を食べたいのか、というようなことから考えるということです。
肥満などが問題になる少し前の一般的な日本人の食生活は、いいモデルだったと思います。あの頃のような朝昼晩の食事を基本に考えれば、ほぼ大丈夫ではないかと思います。
理科担当:伏木先生プロフィールはこちら
<参照・出典:「人間は脳で食べている」「おいしさを科学する」著・伏木亨 ちくま新書>
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◆この記事へのコメント
- 普通の食事が出来ないほど忙しかった20年余り前にカップ麺、袋菓子等の便利さに流されて1日3度の食事タイムが忘れ去られ、今残ったのはズボラな習慣とメタボの言葉?
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Posted by こめみまん
at 2008年03月04日 06:30
- 今回の伏木先生の講義も今の食生活に対して大変重要な事を教えていただきました。飽食という言葉は好きではありませんが、今はまさにその様な時期ですね。いつでも、何でも好きなモノが食べられる事が食の基本を違った方向に向けてしまっています。今の若者たちに食の基本をどうやって理解させるかが我々親のかかわって行く重要な食育でしょう。人任せでは出来ませんね。
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Posted by いけやん
at 2008年03月04日 08:21
- everyday ”ハレの日”ってことですかね。好きなものを、好きな時に、好きなだけ、なんていう生活で健康になんて虫が良すぎますよね。何かの本で読みましたが、金かけて美味しいもの食べて、金かけて治療(もしくはサプリ)なんて、不経済そのもの。考え直さなければ・・・
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Posted by はっちゃん
at 2008年03月04日 08:30
- 「普通の食」この響きに ドキッとしました。たしかに いつでも余るほどの食…
しかし 自分で「普通の食」をしているかといわれたら、全く自信がありません。
食生活の見直しをしてみます。 -
Posted by kao
at 2008年03月04日 10:57
- 考えてみたら食生活は きちんとしていませんね。いつでも、お腹が減れば食べることが出来ると、いう環境…
それが、逆に肥満を増やしているのかもと、考えると反省点たくさんあります。 -
Posted by いちごみるく
at 2008年03月04日 11:09
- 説得力のある説明ですね。昔の食事からみれば今はいろんなものがあふれかえっているとつくづく思います。
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Posted by モッサン
at 2008年03月04日 20:46
- 「昔は、もったいないから残さず食べて」
ですが、今は
「お肉の脂身はとって、フライの衣は削って、うどんやラーメンのスープは残して」なんてことになってます。 -
Posted by ke-ko
at 2008年03月05日 12:25
- 普通に食べることは当たり前のことですが、大変です。
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Posted by kitty
at 2008年03月05日 21:58
- 食事は腹八分目にしたいのですが、なかなかむずかしいものですよね。
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Posted by み~も
at 2008年03月06日 09:46
- 「普通」というのが一番難しいのかもしれませんね。たくさん食べる、少なく食べる・・・のは簡単ですが「普通」と言うのは人それぞれ。食べ物が簡単に手に入る今、「普通」をちゃんと考えないといけませんね。
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Posted by もこもこ
at 2008年03月06日 23:27
- 今の時代、食べ物の種類も中華あり、イタリア料理あり、フランス料理ありと、溢れかえっていますが、普通の食事、味噌汁と御飯がいいとは、以外でした
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Posted by 春美
at 2008年03月07日 08:28
- 日本食は基本好きですが ついつい手軽な食事していました。もう一度食生活を見直します!
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Posted by ろびぃ
at 2008年03月08日 07:20
- 「親が何を食べていたのか」を基準にすると、私は和食です。でも、このごろの小さい子たちが手本とする親の食生活を考えると、こわいですね。
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Posted by 金魚
at 2008年03月11日 17:03
- たしかにご飯を今食べなくても死ぬ・・・
って 感覚がないですよね。
食べたいのがすぐにある!って感覚直さないとって思いました。 -
Posted by はるっち
at 2008年03月14日 14:50
- 食育が注目される時代なのがわかりますね。
野菜自体の栄養価も下がってきているそうです。 -
Posted by ゆうこりんこ
at 2008年03月16日 01:49
- ふつうに食事していたら良いんですね。
3食食べることが一番の健康の秘訣 -
Posted by kami
at 2008年03月16日 10:56
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