理科

理科の授業です

ゴーゴーご組

第16回:親から子へと伝える「食」のあり方





 いま子供たちに対する食育の大切さが盛んに言われています。食育には、健全な食習慣を身につけさせるほかに、日本の伝統の味を子供に伝えるという目的があると思います。

 子供は放っておけば、脂があって甘みがある、欧米型の食事を好きになってしまいます。私は、将来自分が食べるものの基盤を作るという意味で、子供に日本の伝統的な味を教えることが重要だと思っています。


 そのためには日本の伝統的な食べ物、ごはんやだしなど、昔から人々が食べてきたものをおいしく感じるようになることが、一番大事だと思います。

 そこで、お父さんお母さんにぜひやっていただきたいのは、ごはんを食べることです。ごはんをたくさん食べれば自然にそれに合うものを作りますから、野菜もだしも全部ついてきます。白いごはんを食べるということが子供に伝統の味を伝える一番簡単で効果的な方法だと思います。

 日本人のお米の消費量は、高度経済成長以降どんどん減ってきています。戦前は一人が1年間に120~130kgのお米を食べていましたが、今では輸入農産物に押されて年間60kgほどになっています。でも、お米なら日本で作っていますし、農家の人が近くにいて、その地域で作っているわけです。食育で言われている大事なことはすべて“ごはんを食べましょう”でできることではないでしょうか。

 おかずについていうと、日本はごはんのおかずとして西洋のものをうまく取り入れてきました。これは続けたほうがいいと思います。家庭で作るハンバーグなどは典型ですが、それをパンにはさんでしまうともう日本型ではなくなってしまいます。だから、ごはんとおかずという形を変えずに新しい料理を取り入れていくのは大事なことだと思います。

 最近では、親と子供が一緒に食事をしなかったり、親が子供に何を食べたいかを聞いたりしていますが、これはあまりよくありません。食の教育という観点から見れば、親が、長い歴史の中で出来上がった食の文化を子供に与えなければいけないのに、子供が食べたいものを提案して親がそれに合わせるというのは、食育の逆流であり退行だと思います。

 ではどうすればよいかと言うと、親は子供の前でおいしそうに食べることです。これはとても大事だと思います。無理やり強制して食べさせても子供は嫌いになるばかりです。子供は親がおいしそうに食べるのを見て「ああ、自分も大人になったらこういうものを食べるのかな」ということを学んでいくわけです。食の好みは遺伝しません。好みは、親が子供に教えて初めて伝わっていくものです。もし子供に何も教えなかったら、食の文化は途絶えてしまうということです。食べて欲しい味を子供に伝えるのは、早く始めるほど楽です。幼稚園、小学校に行って子供が自分の好き嫌いを作ってしまってからでは、親が無理やり食べさせようと思ってもすごく大変ですから。

 べつに食経験の豊富な子供に育てる必要はありません。ごはんとだしのおいしさがわかる子供であれば十分です。それには幼児期の「食」がカギになります。まずごはんとだしを好きになる食育を進めてみてください。

理科担当:伏木先生
プロフィールはこちら


<参照・出典:「人間は脳で食べている」「おいしさを科学する」著・伏木亨 ちくま新書>


Posted by ゴーゴーご組 at 00:00 2008年03月17日 │Comments(14)TrackBack(0)講義

◆この記事へのトラックバックURL

◆この記事へのコメント

食育は簡単そうで難しい事ですね。でも伏木先生がおっしゃっているようにごはんと野菜それにだしの味を伝えれば概ね伝わるわけですね。日本型の食習慣を継続し、親が美味しく食べる事が本来の日本食を伝える基本になりますね。生まれ育った土地で、そこで採れた食材を使って、その材料に合った調理法で作った食事はそこに住む人に力を与える事になりますね。
Posted by いけやんいけやん at 2008年03月17日 08:13
なんでもかんでも学校に頼っているのは間違っていますね。やはり基本は家庭。子は親の鏡ですから、学校に任せることは親の義務の放棄に他ならないと思います。自己反省を多分に込めてのコメントとさせていただきます。
Posted by はっちゃんはっちゃん at 2008年03月17日 09:24
子供の頃から、3食ごはんをたべる習慣をつけてもらえる子供はしあわせものですよね。
Posted by み~もみ~も at 2008年03月17日 11:06
~親から子へと伝える「食」のあり方~
って、とっても簡単、当たり前のことをするだけなんですね。
Posted by ke-koke-ko at 2008年03月18日 00:37
食育、食育とよく言われていますが食育を推進するおとなが乱れた食生活を送っているようです。はっちゃんさんがおっしゃるように最近の保護者は何でもかんでも教育は学校が・・・。という方が多いですね。私は中学校のPTA会長をしていますのでよくこのような話を聞きます。その時の結論は「先ずは親の教育が必要です」で締めくくられます。親の意識改革が次代の子どもたちへのプレゼントです。
Posted by いけやんいけやん at 2008年03月18日 08:21
学校給食でご飯をもっと多く食べる日を多くしていけば子供たちもおいしいご飯を食べるのでは
Posted by ひできひでき at 2008年03月18日 08:51
子は親の姿を見て育つことを改めて感じますね。様々な食形態がある中で、ごはん食が健康的であることは分かっていても、なかなか実践できていない現実。確かに、高脂肪食は魅力的で病みつきになるおいしさがあります。しかし、日本人の体質に合わない欧米型の食事を続けた結果、生活習慣病になってしまうことも事実です。幼い頃から欧米型の食事に慣れ親しんできた人たちが、将来我が子に正しい食育ができるよう、まずは自身の食生活を見直す必要があるように思います。
Posted by モモンガモモンガ at 2008年03月18日 09:07
 今朝のあさひ川柳(3/20朝日新聞)の「秀逸」の一句です。
    亡母(はは)の味ばかりになって一人膳
               たつの市 岸本和子さん
 毎日毎日、世代を超えて、食事を作りつづけてきた女性の力はすごいと思いました。
Posted by 雄町雄町 at 2008年03月20日 11:58
   褪せてなほ一対の椀彼岸西風(にし)  中田多喜子
 味噌汁のお椀でしょうが、なくなったご主人への永年の食育が偲ばれますね。
 3/21 日本農業新聞(というのがあるのです)の「おはよう名歌」のコラムから。
Posted by 雄町雄町 at 2008年03月21日 12:59
 しつこいですが、もうひとつ
    だしをとるにおいをかぎながら
    シュンシュンと湯のたぎる音を聞きながら
    コツコツとねぎをきざみながら
    いそがしい秋の夕暮れに
    母たちのいちばんおいしがるすいものの味をつくりだそう
    ガスの青い炎を加減しながら
    私は母たちを待つ         足立 美穂子

 中学三年なので昭和40年ですが、文集に載った同級生の詩です。稲刈りで遅い両親を待ちながら、女の子たちは、母親の味を身につけていってたのですね。
Posted by 雄町雄町 at 2008年03月22日 10:00
いつも思うんですが、
やっぱり、家庭を守る人がいるほうがいいなと。
食生活にしても、生活習慣にしても、
物を大切にするにも、ごみを減らすためにも
それは、女性でも男性でも、年取ってても若くても、だれでもいいと思うんです。
みんなが、毎日を落ち着いて過ごすためにも
Posted by ke-koke-ko at 2008年03月24日 00:25
「子供が食べたいものを提案して親がそれに合わせるというのは間違い!」との先生のお話にはドキッとしました。それが子供を理解し、親のやさしさ表現だとしたら大きな間違いを犯していることになりますね!正しいことと、間違ったことの白黒がわかりにくい時代のように思います。つい陥ってしまいそうな落とし穴です。
Posted by フータロウフータロウ at 2008年03月25日 16:31
ご飯を三食食べると言うことは、きちんと食事をとるということになると思います。ここからしっかりとした生活にもつながると思います。
Posted by もこもこもこもこ at 2008年04月03日 05:21
夕食のメニューが決まらないときは、子供たちの意見もおろそかにしてはいけないと思います。
Posted by ゆきまるねねゆきまるねね at 2008年05月28日 12:07
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません